Milkcocoaを使って簡易チャットを制作
前提
- Google Chromeでしかテストしていません
Milkcocoaってなに?
Uhuru社から提供されているBaaS(Backend as a Service)です。
Baasというのは、「自分でサーバを用意して、データベースを入れて〜」というような一連の環境構築をする必要がなく、さらに、ある程度のサーバサイドの機能(データ管理、プッシュ通知など)を用意してくれているので、フロントエンドの開発だけに集中できるサービスです。
立ち位置としては、SaaSとPaaSの中間くらいです。
メールアドレスとパスワードの登録だけで始められるので手軽です。クレジットカードの登録なんか要りません。
また日本発のサービスなのでドキュメントが日本語。英語が苦手な僕にとってはありがたかったです。
簡易チャット作成
今回はjavascriptで適当にチャットアプリをつくってみます。
index.html
<!DOCTYPE html> <html lang="ja"> <head> <meta charset="UTF-8"> <title>Milkcocoa</title> <script src="https://cdn.mlkcca.com/v0.6.0/milkcocoa.js"></script> <script src="main.js"></script> </head> <body> <textarea id="messageArea" style="width:300px;height:150px;background:#555;color:#fff;font-size:17px;"></textarea><br> <button onclick="pushData()" style="width:150px;height:30px;">データを追加</button> <button onclick="pullData()" style="width:150px;height:30px;">データを取得</button> <ul id="pullDataArea"> </ul> </body> </html>
main.js
var milkcocoa = new MilkCocoa('app_id'); var chatDataStore = milkcocoa.dataStore("chat"); var textArea, ul; /** * ロード時処理 * 5件のデータを読み込む */ window.onload = function() { textArea = document.getElementById("messageArea"); ul = document.getElementById('pullDataArea'); getText(); } /** * pushされたとき、新しいデータを引っ張ってくる(pushされる状態を監視) */ chatDataStore.on("push", function(data) { pullData(); }); /** * データ追加ボタンを押された時の処理 */ function pushData() { var text = textArea.value; sendText(text); } /** * データをデータストアに追加し、テキストエリアは空にする * @param text データストアに追加するテキスト */ function sendText(text) { chatDataStore.push({message: text}, function(data) {}); textArea.value = ""; } /** * データ取得ボタンを押された時の処理 * テキスト送信時の更新 */ function pullData() { removePullData(); getText(); } /** * 新しい順に5つデータを取得 */ function getText() { chatDataStore.stream().size(5).sort('desc').next(function(err, data) { addPullData(data); }); } /** * 取得したデータを画面上に表示する * @param data 取得したデータ */ function addPullData(data) { for (var i = data.length - 1; i >= 0; i--) { var li = document.createElement('li'); ul.appendChild(li); li.innerHTML = data[i].value.message; } } /** * 表示しているデータを画面上から削除 */ function removePullData() { for (var i = ul.childNodes.length - 1; i >= 0; i--) { ul.removeChild(ul.childNodes[i]); } }
MilkcocoaのWebサイトでログインして、ダッシュボードから新しいアプリを作成すると、アプリケーションのIDが生成されると思います。アプリケーション名はなんでも良いです。僕は「TutorialApplication」としました。
var milkcocoa = new MilkCocoa('app_id');
main.js
の1行目のapp_idの部分に、そのアプリケーションIDを置き換えてください。
ダッシュボードのアプリケーションの概要から確認することができます。
IDは間違えてGitHubなんかに上げたりしないようにしましょう。
実行
ブラウザを2つ立ち上げてファイルを実行。
ローカル上ですが、ちゃんとリアルタイムでチャットができていることがわかると思います。
デザインを修正して、テキストエリアに文字数制限など設ければ、それなりのものになるのではないでしょうか。
ちなみに、「データを取得」ボタンはこのアプリにおいてまったく必要ないですが、メモとして残しておくことにしています。
BaaSの可能性
このように、短いコードでリアルタイム通信を実現できたわけですが、もっとすごいこともできるらしいです。
MilkcocoaではIoTを見据えてサービスをやっているみたいで、スマホなどのデバイスとの親和性も強いです。公式サイトではRaspberry Piなどを使ったサンプル
も紹介されています。
参考
内部結合と外部結合[SQL]
前提
結合とは
結合とは、複数のテーブルを特定のキーで結びつけて処理することです。
DBを使ったシステムやアプリケーションの多くは、1つのテーブルだけで実装されていることは少なく、
何枚かのテーブルを使って成り立っていることが多いです。
ECサイトを例にすると、顧客情報のテーブルと商品(サービス)のテーブル、と少なくとも2つはいります。この2つのテーブルをまとめてしまうことがどれほど厄介で危険なことかは、なんとなく察しがつくはずです。
例で使うテーブル
従業員(employees)が、なに(items)をどれだけ売ったか(sales)というデータがあると想定します。
employee_id | name |
---|---|
1 | 青木 |
2 | 岩野 |
3 | 武内 |
4 | 中津 |
5 | 山口 |
sale_id | employee_id | item_id | quantity |
---|---|---|---|
1 | 2 | 1 | 8 |
2 | 3 | 4 | 12 |
3 | 1 | 4 | 6 |
4 | 4 | 4 | 10 |
5 | 4 | 2 | 2 |
6 | 3 | 3 | 5 |
7 | 17 | 1 | 5 |
item_id | price |
---|---|
1 | 1200 |
2 | 1250 |
3 | 1370 |
4 | 980 |
実際に手を使って動かしてみたい方は次のCREATE文を参考に。
3枚のテーブルの最初のIDは面倒だったのでオートインクリメントを使っています。
itemsテーブルにname(商品名)が入ってないので違和感がある方は好きにデータを挿入して
ください。(今回は特に意味を持たないので省きました)
CREATE TABLE employees ( employee_id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY, name VARCHAR(10) NOT NULL ) ENGINE=InnoDB DEFAULT CHARSET=utf8;
CREATE TABLE sales ( sale_id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY, employee_id INT NOT NULL, item_id INT NOT NULL, quantity INT NOT NULL ) ENGINE=InnoDB DEFAULT CHARSET=utf8;
CREATE TABLE items ( item_id INT NOT NULL AUTO_INCREMENT PRIMARY KEY, price INT NOT NULL ) ENGINE=InnoDB DEFAULT CHARSET=utf8;
内部結語
employeesテーブルとsalesテーブルを内部結合させてみたいと思います。
内部結合を行うにはJOINかINNER JOINのいずれかを使います。
「結合とは」の項目で、結合っていうのは複数のテーブルを特定のキーで結びつけて処理すること
と紹介しました。
この特定のキーをここではemployee_id
にしましょう。このキーは両方の
テーブルにありますね。結合をするときは2つのテーブル、どちらにも定義してあるキーを主軸にします。
キーを結びつけるにはON テーブル1.キー = テーブル2.キーを使うかUSING(キー)を
使います。今回はUSINGで統一します。
SELECT * FROM employees INNER JOIN sales USING(employee_id);
結果はこのようになります。
+-------------+--------+---------+---------+----------+ | employee_id | name | sale_id | item_id | quantity | +-------------+--------+---------+---------+----------+ | 2 | 岩野 | 1 | 1 | 8 | | 3 | 武内 | 2 | 4 | 12 | | 1 | 青木 | 3 | 4 | 6 | | 4 | 中津 | 4 | 4 | 10 | | 4 | 中津 | 5 | 2 | 2 | | 3 | 武内 | 6 | 3 | 5 | +-------------+--------+---------+---------+----------+
ここで重要なのが内部結合はキーが一致しているレコードのみを抽出することです。
上の結果では、結合したテーブルではemployeesテーブルのID5山口さんと、salesテーブルのID7の
レコードが抜け落ちています。(どちらも最終のレコード)
山口さんは途中入社でまだ売上の情報がなく、salesテーブルのID7の情報は存在しない従業員ID17を指している
ために表示されません。なにかしらの不手際で紛れ込んだと考えるのが妥当でしょう。
しかし、山口さんの情報も表示したい、というケースもあるはずです。そのような場合は外部結合を使いましょう。
外部結合
外部結合では、どちらのテーブルのレコードをすべて表示するかによってSQLを変える必要があります。
- 左のテーブルの場合はLEFT JOINもしくはLEFT OUTER JOIN
- 右のテーブルの場合はRIGHT JOINもしくはRIGHT OUTER JOIN
を使います。
山口さんの情報を抜き出したい場合、employeesテーブル寄りにするSQLを書けば良いです。
SELECT * FROM employees LEFT OUTER JOIN sales USING(employee_id);
SELECT * FROM sales RIGHT OUTER JOIN employees USING(employee_id);
2つのSQLの結果は同じになります。
+-------------+--------+---------+---------+----------+ | employee_id | name | sale_id | item_id | quantity | +-------------+--------+---------+---------+----------+ | 2 | 岩野 | 1 | 1 | 8 | | 3 | 武内 | 2 | 4 | 12 | | 1 | 青木 | 3 | 4 | 6 | | 4 | 中津 | 4 | 4 | 10 | | 4 | 中津 | 5 | 2 | 2 | | 3 | 武内 | 6 | 3 | 5 | | 5 | 山口 | NULL | NULL | NULL | +-------------+--------+---------+---------+----------+
せっかくなのでsalesテーブル寄りの情報も出力してみます。
SELECT * FROM sales LEFT OUTER JOIN employees USING(employee_id);
SELECT * FROM employees RIGHT OUTER JOIN sales USING(employee_id);
+-------------+---------+---------+----------+--------+ | employee_id | sale_id | item_id | quantity | name | +-------------+---------+---------+----------+--------+ | 1 | 3 | 4 | 6 | 青木 | | 2 | 1 | 1 | 8 | 岩野 | | 3 | 2 | 4 | 12 | 武内 | | 3 | 6 | 3 | 5 | 武内 | | 4 | 4 | 4 | 10 | 中津 | | 4 | 5 | 2 | 2 | 中津 | | 17 | 7 | 1 | 5 | NULL | +-------------+---------+---------+----------+--------+
きちんとsalesテーブルにあるID7のレコードが取れています。employeesテーブルにID17の情報がないので
名前はNULLになっていますね。
応用
- Q. employeesテーブルに登録してある従業員の合計売上を表示せよ
最終的に、従業員名と売上の2つを表示させて、問題に答えたこととします。
その前に、3つの表を結合させて全体像を知っておきましょう。
JOINを3つつなげて書くことで3枚のテーブルの結合を実現できます。
SELECT * FROM employees LEFT JOIN sales USING (employee_id) LEFT JOIN items USING (item_id);
+---------+-------------+--------+---------+----------+-------+ | item_id | employee_id | name | sale_id | quantity | price | +---------+-------------+--------+---------+----------+-------+ | 1 | 2 | 岩野 | 1 | 8 | 1200 | | 4 | 3 | 武内 | 2 | 12 | 980 | | 4 | 1 | 青木 | 3 | 6 | 980 | | 4 | 4 | 中津 | 4 | 10 | 980 | | 2 | 4 | 中津 | 5 | 2 | 1250 | | 3 | 3 | 武内 | 6 | 5 | 1370 | | NULL | 5 | 山口 | NULL | NULL | NULL | +---------+-------------+--------+---------+----------+-------+
上の3つのJOINを使ったSQLを上手くいじるとシンプルに問題が解けるはずです。
もしかしたら、JOINを使わずに解けてしまうかもしれませんが、今回は結合の話
なので、解答ではJOINを使います。もちろん読者の皆様は使わなくても良いです。
解答は下へスクロールしていくとあります。
※ヒント SUMとGROUP BYを使います
解答
SELECT employees.name, SUM(sales.quantity * items.price) FROM employees LEFT JOIN sales USING (employee_id) LEFT JOIN items USING (item_id) GROUP BY employees.employee_id;
+--------+-----------------------------------+ | name | SUM(sales.quantity * items.price) | +--------+-----------------------------------+ | 青木 | 5880 | | 岩野 | 9600 | | 武内 | 18610 | | 中津 | 12300 | | 山口 | NULL | +--------+-----------------------------------+
このSQLが唯一の正解ではなく、読者様がもっと良いSQLを書いている
可能性は大いにあります。
現に、解答のSQLは処理速度などまったく気にしていません。
自分で考えたロジックを大切にしましょう。
※ 注意:MySQLのバージョンが5.7以上だとONLY_FULL_GROUP_BYがデフォルトでオンになっているようで、sql_modeを上書きするか、
SELECTするものをすべてGROUP BYに書かなくてはならないようです。気をつけましょう。
参考
PHPのforeachの罠
foreachの$valueは参照渡しではない
$array
に格納されている要素を、すべて空文字列に置き換えたいとします。
方法はいろいろありますが、今回はforeach
の話なので、foreach
を使います。
<?php $array = array("php", "python", "ruby", "javascript"); foreach ($array as $value) { $value = ""; } var_dump($array);
実行結果は次のようになります。
array(4) { [0]=> string(3) "php" [1]=> string(6) "python" [2]=> string(4) "ruby" [3]=> string(10) "javascript" }
要素はそのままになっていますね。これは、$value
を直接変更したからです。
PHPの場合、foreach
で取り出した要素は、その要素をコピーする形になります。
$value
は、$array
の要素と同じアドレスを見ていない、というわけです。
解決策1
上記では、値渡しになっているので、参照渡しにすれば良い、という考え方です。
<?php $array = array("php", "python", "ruby", "javascript"); foreach ($array as &$value) { $value = ""; } unset($value);
$value
の前に&
をつけて参照渡しにしています。
こうすることで、すべての要素を空文字列にすることができました。
注意点として、処理後、unset($value)
で参照渡しをクリアしてやることが大事です。
処理したあとも、参照渡しである状態が保持されつづけると、思わぬバグの温床となります。
解決策2
参照渡しにするのではなく、$array
の方を直接書き換える、という手法になります。
<?php $array = array("php", "python", "ruby", "javascript"); foreach ($array as $key => $value) { $array[$key] = ""; }
キーを取得して、そのキーで要素を指定することによって配列を操作しています。
僕はこちらの方をよく使っています。